許嫁な二人

 叫ぶように言ったその男子にむかって、悠が ”夏休みに、猫が、、、”
 と説明をしていると、もう一人上に残っていた人が、トン、トン、トンと
 ゆっくりおりてくるのがわかった。

 光が眩しくて見えなかった顔がだんだん見えてくる。

 眩しい光の中から現れたのは、透だった。



   「透くん、、、。」



 おもわず漏れた唯の呟きを聞きとがめた先程の男子が、ものすごい
 勢いで振り向くと



   「えっ、透のことも名前呼び?いったいなんだよ!」



 と叫んだ。




 もうすぐ昼休みが終わるからと、階段を降りていった唯の姿が
 見えなくなったところで、悠が透の方をむいて言った。



   「で、唯とはどういう関係?」

   「ただの幼馴染みだよ。」



 透の返事に、亮平が大声をあげる。



   「だぁー、なんでそんな有益な情報、黙っとくんだよ!」



 うるさい亮平とは対照的に悠はふーんとだけ呟いた。
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