許嫁な二人

 店の中はさほど広くなかったが、きれいに片付けられていて
 カウンターの椅子にこしかけてきょろきょろしている唯をみて
 悠が笑った。

 隣には、階段であった男子生徒が座っていて、おそろしくにこにこした
 顔で、唯を見ている。

 透はその向こうに座っていて、無表情で前を向いているだけだ。



   「俺、島田亮平っていいます。唯ちゃんとは一度話してみたかった
    んだよね。」



 ニコニコ顔の男子生徒の自己紹介に唯も頭をさげる。



   「だぁー、やっぱりかわいいなあ、ね、透と幼馴染みって
    聞いたけど、いつから?」

   「幼稚園のときから。」

   「そんなに小さいときから?それで、小、中、高と一緒?
    でも、唯ちゃん東京から転校してきたんだよね。」

   「はい、その、、中学の途中で東京の学校へ行ったので、、。」



 そういいながら唯はちらりと透を見た。

 透はかわらず無表情のままだ。



   「ラーメンおまち!」



 透を見ていたら、あつあつのラーメン丼が目の前に置かれた。



   「あの、頼んでない、、、。」

   「いいよ、おれのおごり。」

   「でも、、、。」

   「いいから、一口食べてみてよ。」



 そう悠にいわれて、一口食べてみる。



   「あ、おいしい。」

   「だろう?」

   「うん。」
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