許嫁な二人

 最後の一滴までお汁をのみほして満足して箸をおくと、それを
 待っていたかのように、それまで黙っていた透が口をひらいた。



   「文化祭の掲示係のことはわかったから、
    お前、もう家に帰れよ。」

   「えー、まだいいじゃん。」



 透の言葉を聞いて、亮平がぶーぶー言うのを無視して透は立ち上がった。



   「近くのバス停まで送る。」

   「じゃ、おれも、おれも。」



 結局、亮平と透と唯、三人で店をでた。

 何かと話しかけてくる亮平の言葉に相槌をうちながら、唯は前を
 歩く透を見る。



   「ね、唯ちゃんはなんで東京からこっちに帰ってきたの?
    ここって田舎でしょ、東京の学校のほうがよくねえ?」

   「東京の学校っていっても、病気でしかたなくその学校へいってた
    わけだから。」

   「そうなの?もう体はだいじょうぶなの?」

   「はい。」



 亮平との会話は、前を歩く透に聞こえているだろうか、、、。

 本当はこんなに元気になったことを、透に話したい。

 そうしたら、部活を続けれてよかったと喜んでくれたあの時のように
 一緒に喜んでくれるだろうか、、、。

 
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