ゼロの相棒





それを聞いて、ゼロはピクリ、と反応した。





「……二人で、か?」





ゼロの問いかけに「当たり前だろ?」と
ジンは笑う。





その顔は、どこか自信があるようで、不安げでもあった。





「………月が出なけりゃなぁ…。」





ゼロがそう呟いたので、私は彼に向かって言った。






「あ!また、ジンに魔力を分けて貰えば?

そしたら、魔獣を倒す一瞬だけでも元に戻れるんじゃないの?」









その瞬間、ゼロとジンが、ばっ、とこちらを見た。





珍しく、二人とも激しく動揺している。






「あ…あれは最終手段だよ。
頻繁にやるもんじゃない。」






ジンが少し早口で言った。





ゼロもそれに続ける。




「あれを使ったところで両方の魔力が削がれるだけだ。

………出来れば二度とやりたくはない。」




体力が持たないからかな…?




あの夜は、少しだけ魔力を分けてもらったから、長くは持たなかった。






「それなら、一回ジンの魔力を全部ゼロに渡すのは?」





私がそう言うと、ジンが即座に否定した。





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