ゼロの相棒
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その日の夜。
塔に残っていた私たちは、再びてっぺんへと登った。
魔力がだいたい回復したドロシーが、西の方向に向かって瞳を輝かせた。
どうやら、何百キロも遠くの景色を見ているらしい。
「魔獣はどうだ?ドロシー。何か見えるか?」
ジンが彼女に話しかける。
すると、ドロシーは驚いたように魔力を消すと、私たちの方を見た。
「ゼロさんの話通り、魔獣の大群がこちらに迫ってきています。
……町に近づけすぎても対処出来ません。」
ドロシーは、少し考えてから続けた。
「一つ提案なんですが、このまま最果ての丘に魔獣を誘導して、そこで一気に倒す、というのはどうでしょう?」
ドロシーの言葉に、ゼロとジンは顔を見合わせた。
確かに、最果ての丘は魔獣を誘き寄せて一気に倒すなら、周りに建物もないし、最適だ。
すると、ジンはゼロの方を見ながら言った
「……もしドロシーの案を採用するなら、僕に考えがある。
…ゼロ。僕の博打に乗ってみる気はあるかい?」