ゼロの相棒
『何が起こったんだ?!』
シャボン玉からゼロの声が聞こえる。
「例の黒マントの男が、町に魔獣達を引き寄せてるみたいなの!
大群がこっちに向かって来てる。このままじゃ、町が全壊してしまうわ!」
私がそう言うと、ジンが少し焦った声で答える。
『僕よりも強い魔力で魔獣達を操っているなら、今からあの大群を丘に方向転換をさせようとしても無理だ!
くそ…!
ゼロ、急いで魔獣達を追いかけるぞ!』
そうか、丘に先回りをしていたから、ゼロ達は今、群れの最後尾にいるんだ。
その時だった。
グラグラグラッ!!!
突然、地面が大きく揺れ始めた。
「…こんな時に…!」
ドロシーが必死に塔の手すりにつかまりながら言った。
地響きだ。
ジンの予想通り、今までとは桁違いに大きい。
町からも、悲鳴や、人々の声が聞こえる。
さっきの魔獣の雄叫びもあったからか、
全員家から出てきているようだ。