ゼロの相棒
魔法が使えないのなら、なんとしてでも薬を手に入れなければならなかった。
私は町の中心地につくと
路地を抜け、薬を扱っている店の近くへと走った。
薬屋の近くの角に身を潜めて様子をうかがう。
偶然にも店にはお客がいなかった。
店主が新聞を広げながら店番をしている。
今ならいけるかもしれない…!
私は姿勢を低く保ったまま店に近づいていった。
何度も棚を確認する。
薬の場所はしっかり覚えた。
私は、すぅ、と深呼吸をして目を閉じ
ジェノバの顔を思い浮かべる。
盗みを働くときは、必ずすることだ。
心の中で、小さく呟く。
ごめんね、ジェノバ。
私は、あなたのために、今から悪行を働きます。
地獄に落ちても構わない。
あなたが、隣にいてくれるなら。
私には、それで十分。
私は、ぱっ、と目を開くと
棚に狙いを定めた。
今だ!!
私は力一杯地面を蹴って店に入り込んだ。