Time Paradox
二人はゆっくりと歩き出し、ルイスとすれ違うのを待った。

すると案の定、中庭で葉巻を吸っていたであろうルイスが廊下の角から姿を現した。

ルイスは二人を視界の端に捉えると、立ち止まって会釈をし、二人も同じように会釈を返すとまた歩き出した。


アドルフはさりげなく振り返り、ルイスがさっきの部屋に戻るのを確認するとリリアーナの手を引いた。

そして静かに隣の部屋から隠し通路に入り、鏡の裏側からルイスの様子をうかがった。
というのも、ルイスのいる部屋は隠し通路の入り口が大きな鏡で、その鏡の裏側から部屋の中が透けて見えるようになっているのだ。

アドルフが言った通り、ルイスはノートに手をかざし、まじないを確認した。
ここからではルイスがどんな表情をしているかは分からないようだ。

二人は静かに隠し通路出ると、ルイスの隣の部屋へと戻った。

「これで僕達への疑いも少しは晴れ、ルイスも何か大きく行動を起こすのではないでしょうか?」

「そうね!そうなったら証拠を掴んでいきましょう!」

アドルフは頷くと、時計を確認した。

「そろそろ戻る時間ですね。ルイスは時間にもうるさいですから。」

二人はそうしてルイスのいる部屋へと戻り、また作法のレッスンの続きが始まった。
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