Time Paradox
何曲か踊り続けていたルーカスとデイジーだが、少し疲れたこともあり、一旦休憩を挟むことにした。

二人がホールの端の方でドリンクを飲みながら休んでいると、ある貴族の男性の話し声が耳に入ってきた。

酔いが回ってつい大きな声になってしまったのだろうが、ホール中に響いているその声には聞き覚えがあった。

「だからびっくりしてしまったんですよぉ！ガコーンって音がして、まさか庭に人が居たなんて！それでそいつらを追いかけてみたんだけど塀飛び越えて逃げてっちゃって！
翌朝屋敷中を調べてみたんですけど、盗まれた物は何も無く…なおさら気味が悪いんですよ！皆さんも気を付けてくださいね！」

その大きなお腹の男性の周りには軽く人が集まってきていて、それぞれ頷いたり意見交換をしたりと、何かしらのリアクションを取っていた。

それを見たルーカスとデイジーは怪訝そうに目配せをした。

「ベルモンド家…」

「…あぁ。」

二人は気まずそうに苦笑いを浮かべていた。
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