Time Paradox
リリアーナとアドルフは布団を被りながら前戯を続けていた。

だが、アドルフがリリアーナの上に覆いかぶさる形で唇を合わせようとしていたその時、廊下の照明の光が二人の元へと届いた。

二人から見て逆光を浴びているのは、拳をきつく握りしめて立ちすくむジャックのシルエットだった。

3人はしばらくの間硬直していたが、さすがに開けっ放しなのは悪いと思ったのか、ジャックが勢いよく扉を閉めた。

アドルフは下ろしかけていたズボンのファスナーを上げ、リリアーナは全裸同然となっている体を必死に布団で隠した。


部屋には重い沈黙が流れる。

だがジャックは下を向きながら頭を押さえ、話し始めた。

「きっと二人はこれで２回目なんだよな…？俺の立場からじゃ何とも言えないけど…」

そう言ってジャックは嘲り笑うと、返答を求めるように二人へと視線を投げかけた。


ずっと黙って下を向いていたリリアーナだが、毛布をかぶったままベッドの下からバスローブを取り出し、二人からは見えないように着替え始めた。


相変わらずアドルフは何も言わなかったが、バスローブを身に付けたリリアーナは立ち上がり、テーブルの上にある飲み残しのワインボトルを飲み干した。

アドルフはこれ以上はやめてくれと言わんばかりの表情をしていたが、リリアーナは構わず話し始めた。
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