Time Paradox
そんなある日、フォルスの妻が産気づいた。
フォルスは公務を残したまま、妻の出産部屋の前で落ち着きなく長い出産が終わるのを待っていた。
代わりにできる仕事を手伝っていたロイドだが、ふと確認したい事がありフォルスの元へと向かうと、緊張した面持ちで座り込んだままの彼が目に入った。
目は虚で、いつも隙がなく簡単には近付けないほどの強い魔法が彼を守っているように見えたのだが、今のフォルスはロイドの敵ではなかった。
そしてロイドはあろう事か、お守りであった小瓶の蓋を開けてそれを飲み干し、フォルスを誰もいない執務室へと誘った。
ロイドの腰には、ナトリー家の家紋が入った護身用の短剣が携えてある。
全てを手に入れるなら今しかないと思ったロイドは、フォルスを先に部屋に通し、後から部屋に入ったロイドが後ろ手で執務室の大きなドアを閉めた。
そして隙だらけのそのフォルスの頸動脈を目掛けて一気に剣を振りかざすと、真っ赤な液体が部屋一面に広がった。
フォルスは叫ぶ間もなく振り返り、力無くその場に倒れ込んだ。
刺した短剣を通じてロイド自身に魔法が取り込まれるのも一瞬だった。
だがロイドはこの部屋を片付けようと思う間もなく、なぜか自分の首に剣を当てていた。
身体が言うことを聞かず、自分の意思とは正反対に自分で自分を攻撃しようとしてしまうのだ。
反抗する間もなく、フォルスと同じ位置傷を作り、血飛沫を上げて22年の短い人生を終えた。
フォルスは公務を残したまま、妻の出産部屋の前で落ち着きなく長い出産が終わるのを待っていた。
代わりにできる仕事を手伝っていたロイドだが、ふと確認したい事がありフォルスの元へと向かうと、緊張した面持ちで座り込んだままの彼が目に入った。
目は虚で、いつも隙がなく簡単には近付けないほどの強い魔法が彼を守っているように見えたのだが、今のフォルスはロイドの敵ではなかった。
そしてロイドはあろう事か、お守りであった小瓶の蓋を開けてそれを飲み干し、フォルスを誰もいない執務室へと誘った。
ロイドの腰には、ナトリー家の家紋が入った護身用の短剣が携えてある。
全てを手に入れるなら今しかないと思ったロイドは、フォルスを先に部屋に通し、後から部屋に入ったロイドが後ろ手で執務室の大きなドアを閉めた。
そして隙だらけのそのフォルスの頸動脈を目掛けて一気に剣を振りかざすと、真っ赤な液体が部屋一面に広がった。
フォルスは叫ぶ間もなく振り返り、力無くその場に倒れ込んだ。
刺した短剣を通じてロイド自身に魔法が取り込まれるのも一瞬だった。
だがロイドはこの部屋を片付けようと思う間もなく、なぜか自分の首に剣を当てていた。
身体が言うことを聞かず、自分の意思とは正反対に自分で自分を攻撃しようとしてしまうのだ。
反抗する間もなく、フォルスと同じ位置傷を作り、血飛沫を上げて22年の短い人生を終えた。