Time Paradox
ドアが閉まったのを確認し、リリアーナはそっと目を開けた。

幸いにも、魔法が効いていない事は気付かれていないようだ。

そっとドアを開け、誰もいない事を確認してから内側から厳重に鍵を掛ける。

そしてクローゼットをそっと開けると、暗い色のワンピースに着替えてフードを被り、用意していた2体の人形を手にした。

リリアーナの髪を一本だけ抜くと、それを人形に付けたまま魔法で自分に擬態させる。

アドルフの目はそう簡単に誤魔化せないが、他の城の人間に見つかった場合はある程度時間が稼げる。

そして呪いの呪文を唱えながら過去の石を握りしめると、リリアーナの姿はたちまち外からは見えなくなってしまった。

これでも最初の人生では魔法で生活できていたくらいの知識はあるので、強い魔力を必要とする魔法以外は容易いのである。

そっと隠し通路の壁を回し、ジャックの待つ牢獄へと急いだ。
< 243 / 247 >

この作品をシェア

pagetop