Time Paradox
アドルフが屋敷まで来ると、窓から見ている2人には見えない角度となってしまった。


「あの王子、なかなかのイケメンだったな。」

デリックは好奇心で瞳を輝かせながら言った。

「…えぇ。とっても綺麗な目をしているの。」

「そうか、お前は会ったことあるよな。」

その言葉にリリアーナははっとした。

「いっいや、今見たら綺麗だったから!グレー?ブルー?みたいな目で…」

「別に隠す必要もないだろ。もしかしてあの王子のこと好きだったんじゃないのか?」

デリックの言葉にリリアーナはおずおずと頷いた。

「私より二つ上なの。でも唯一歳が近い男の子で、昔から仲がよかったから…今思えばあれが初恋だったのね。」

リリアーナはどこか遠い目をしながらそう言った。

「ほら、その王子を射止められるように今から準備しとけって。イザベラなんかに負けんなよ。」

そう言ってデリックは立ち上がると、部屋を出て行った。

リリアーナは、イザベラがアドルフに取られてしまうのが寂しいだけなんだろうと思ったが、それをあえて言わないでおいてやった。
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