Time Paradox
茶色の髪、長い睫毛。それはリリアーナが最後の希望として待ち続けていた、ジャックである。

「…ジャック、あの時あんな事言っちゃったし、信じてあげられなくてごめんね。もう絶対来ないかと思った…」

リリアーナがジャックの手を握ると、眠っていたはずのジャックが手を握り返した。

「…こいつ、結構よく眠ってるようだな。この快適な牢屋のお陰だ。」

そう言ってデリックは牢屋の中を見回した。

「えぇ。私のアパートより広いかも。」

そう言ってリリアーナはにっこりと笑った。

「ジャックも明日、私が帰る時に一緒に持ち帰るわね。」

「あぁ。お前が明日帰るって言ったら、イザベラが寂しがるな。」

「またいつでも遊びに来るわ。その時は私とイザベラにワインをよろしくね!」


そうして二人は、快適な牢屋を後にした。
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