Time Paradox
２人はレストランに着くとすぐに着替えをし、開店準備を手伝うよう言われ、窓やテーブルを拭いたりする作業をした。

だが昨日一緒だったハレーの姿はなく、彼女は今日遅番のようだった。
その代わり、昨日一緒だったがあまり話していない男性が今日も一緒のようだ。

そして開店準備が全て終わる頃には、時計はちょうど７時半を回っていた。


「じゃあみんな、今日も頑張ろう！開店するよ！」

店長の威勢のいい声により開店したレストランには、早速これから仕事に向かおうとしているサラリーマンなどの姿が見られた。


リリアーナはお客さんの所にお冷を置いて戻って来ると、程なくして店員を呼ぶ声が聞こえた。注文をしたいのだろう。

隣にいた従業員の男性が目で合図する。
それは間違いなく、注文を取りに行けという意味だろう。
だがリリアーナは、ある事を思い出してしまった。

「…すいません、私、まだメニュー覚えてなくて…」

そう控えめに言うと、その男はリリアーナを一瞥して注文を取りに行った。

昨日はいろいろあってメニューどころではなかったのだが、そんなことを言ったところで言い訳にしかならないのだろうとリリアーナは思った。


それからというもの、その男はリリアーナに冷たく当たるようになってしまい、気まずい午前が過ぎて行った。
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