Time Paradox
そしてその男が先に昼の休憩を取り、交代する時にリリアーナにメニューを渡した。

「これ、昼のうちに覚えとけ。注文を取りに行けない理由がなくなるようにな。」

男はぶっきらぼうにそう言い捨てると、早足で戻って行った。

リリアーナは店から出されたまかないを食べながらメニューを眺めた。

種類はそう多くないものの、似たような料理がたくさんあり、どうも苦戦してしまいそうだった。


なんとか写真と料理名を目に焼き付け、リリアーナの昼の休憩が終わった。


ホールに戻るとまだ混み合う時間帯で、みんな忙しそうに働いていた。

リリアーナは客を席まで案内し、注文を取るまでの流れをこなしていった。


だいぶ客の数が落ち着いてきた頃、レジの所に立っていたジャックが真っ青な顔をした。

客を案内するため、ジャックの隣の位置に立っていたリリアーナが窓の外を見ると、そこにはテラスのあるウッドデッキを経由して店に向かって歩いてくる6人の男達の姿があった。

だがそれは何を隠そう、昨日リリアーナが突き飛ばし恨みを買った、大学生の集団だったのだ。
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