無邪気な姫と気だるげな騎士
「…ラディー姫、すげぇかわいくないか?」
「やっば、あの子嫁だと俺、いろいろ狂うわ。」
姫様は可愛い。誰もが認める事実。
だけど、こんな変態まがいな王子たちに知られたくなかった。
「よくきてくれたね、みんな。今日集まってもらったのはこの子を熱い口づけで目覚めさせて欲しいんだ。
そして目覚めさせられた人は婿として迎えようと思う。」
その言葉に歓声が上がる。
…クソが。
「じゃあ、一人ずつ、口づけしてってくれ。」
そして金髪で青い瞳の明らかに王子なやつが姫様のまえにあらわれる。
「じゃあ俺からさせていただきます。」
待て。やめろ。離れろ。ふざけんな。
1ミリずつ、距離が近づくたびにその気持ちは増える。
…ダメだ見てらんねぇ。
キスの瞬間なんて見てしまったら狂ってしまいそうで怖い。
だから俺は、走ってこの部屋を後にした。