鬼部長の素顔



唇を何度も重ねていたら



ドンっ…



部長の動きが止まった




『部長?』



「……優子……蹴った?」



部長は初めて
お腹の子の胎動を感じた
だからか、かなり驚いている



『男の子かな?パパにヤキモチ妬いてるのかもしれない。あ、けど女の子かも、他の女に触らないでって……ふふふっ』


なんだそれ、と
お腹にキスを落とす部長



出てきたお腹
当分できないだろうと再認識



『隼人さん……早く…』


そう思ったら、寂しくなっちゃった
ゆっくり私の元へ戻ってきてくれる

そしてまた、キスをねだる


何度しても、心地いい
部長がキス魔だと思っていたけど
うつったのかな?
私もキス魔なのかもしれない



「優子っ……愛してる」


私も……って言いたかった
けど、言えない。
部長の意地悪……

ほら、わかってやってるんだ
口元が上がってますよ?


どうにかやり返そうと思ったけど
そんなことが出来る体力すらない

だから、抱きしめられた一瞬
ようやく、愛してると言えた
< 304 / 344 >

この作品をシェア

pagetop