夏 恋 花 火

「あのっ!先輩!」

後ろの扉の所で、先輩がびっくりして振り返った。


「友香ちゃん!久しぶり」


やっぱり格好いい…。

笑顔が眩しい。


「お久しぶりです。あの、えっと……」

「ん、どした?」


思い切り首を傾げられた。

私、今、ひどく挙動不審…。

頑張れ、頑張れ、私……!!


「あの、先輩、私……!」



キーンコーンカーンコーン。

ハッとした。


「あ、予鈴だ…。何か大事な話だった?」


何でこんな時に邪魔が入るの?

せっかく言えそうだったのに。


「いえ、えっと……」


わざとらしく髪をいじる。

うまく笑えなくて、口元がひくひくする。


どうしよう、やっぱり言わなきゃよかった…!




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