思いがけずロマンチック

昼休みは千夏さんと屋上で食べることにした。さすがに有田さんと鉢合せるのは恥ずかしいし、気まずくなるかもしれないから。


屋上のドアを開けたら青空。狭い空間だけど小解放感がある。周囲の高い柵に沿って置かれたベンチには疎らな人影。みんな外を向いて座っている。


空いているベンチを目指して歩き出そうとする私の手を、千夏さんが引っ張った。

「待って、あそこ……」


顔を寄せて目配せした先には有田さんの背中。ベンチの上には今朝私が手渡した紙袋が置いてある。
目を凝らしてみると、お弁当を食べてくれている。


「莉子ちゃん、やったね」


千夏さんと見つめ合ってガッツポーズ。
相当怪しまれていたから、食べずに返されるかもしれないと不安だった。食べないで中身を処分して、お弁当箱だけ返されるかもしれないとも思っていた。

実際に食べているのを確認できて満足。
私たちは休憩室へと戻ることにした。


「お弁当、莉子ちゃんと同じ?」


千夏さんは興味津津で、私のお弁当を覗き込む。恥ずかしいけれど、頑張った成果を見てもらえるのは嬉しい。


「はい、ハンバーグとかぼちゃサラダと春雨の酢の物です、有田さんにはプチトマトとおにぎりをプラスしてます」

「すごいね、朝から全部作ったの?」

「そんな時間ないですよ、昨夜から作り置きです、さすがに朝はキツイですから」

「その調子で、明日からも頑張ってね」


千夏さんの思いついた作戦の効果はいつ現れてくれるんだろう。



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