思いがけずロマンチック

「有田さんはご存知なんですか? ちゃんとルートは通しておかないと後でまた修正と言われますよ?」

「わかってる、後で僕から話しておくよ。とりあえず直しておいて」

「わかりました、ちゃんと話しておいてくださいね」


もうこれ以上同じ箇所ばかり修正したくないから。付け加えたい気持ちを堪えて、見事に赤ペンで彩られた書類を受け取って修正に取り掛かる。


「有田さん、いいところに……今行こうと思っていたんですよ」


急に益子課長が声色を変えたと思ったら、有田さんが来ていた。ファイルを手に何か言いたそうな顔をしながら、益子課長の呼び掛けに振り返る。


「また何か、本社から言ってきたのか?」

「はい、どうしてもここの文章を直してほしいそうです」


私の机上から取り上げた書類を益子課長が指し示す。有田さんは眉をしかめて書類を睨みつけながら、大きく息を吐いた。


「またか……何度も何度もどういうつもりなんだ……」


そして、悔しさを堪えるように唇を噛んだ。


「すぐに唐津さんが直してくれると言ってますから、出来ましたらすぐに持って行きます」


益子課長が私へと視線を投げかける。同意と言うよりも、催促していると言った方が相応しいと思える目つきで。





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