思いがけずロマンチック
どんな追及を受けるのかと心の準備をしていたものの、有田さんは何にも問い詰めたりしなかった。何にも言われないというのは逆に気持ちが悪くて、私用で外出していたと言ってしまったけれど罪の意識は消えない。
また要らない嘘をついてしまった。
「閉店の時期が半年後になりそうだと言っていた、閉店の企画は行わないとの意向だ」
がっかりした表情の有田さんを見ていると罪悪感は膨れ上がるばかり。笠間さんが閉店の企画を行わないと決めたこと以上に辛い気持ちになってしまう。
「でも、新店舗を立ち上げる際には企画を考えてくださるかもしれないですね」
とりあえず口から出てきたのは自分に向けた言葉でもあった。
閉店後は好きな町に移ってもう一度店を開きたいと言っていたから、きっとその時には声をかけてくれるはずだ。
前向きに考えることで有田さんへの罪悪感が少しずつ消えていくような気がする。
「それは笠間さんも話していた、今はまだ白紙の状態だが近いうちにお前に相談したいそうだ」
「わかりました、笠間さんに連絡して改めて報告します」
「店に行くときには声をかけてくれ、俺も同行しよう」
私の言葉を畳みかけるように有田さんが語気を強める。
どうやら私は疑われているらしい。また嘘をついて外出するのだと思われているとしても無理はない。私にとってはショックでもあるけれど。