思いがけずロマンチック
私たちは店の奥にある事務所の小さな会議テーブルに案内された。ひと通りの挨拶を済ませた後、早速本題へ。私が企画書を広げると、先に有田さんが話し始めた。
「企画の件ですが、見直しをさせて頂きたいと思っております」
見直しと聞いた途端に、笠間さんが不思議そうな顔をする。最終段階にまで積み上げてきた企画を見直しだと言い出したのだから無理もない。
「見直しですか?」
「唐津から聞いたところ、ほぼ固まっているとのことですが、改善した方が良いと感じたので提案させて頂けませんか」
「わかりました、では聞かせてください」
笠間さんは、ちらっと私を見て頷いた。ほんの少しだけ不安の色を滲ませていた目が、有田さんへと注がれるのと同時に鋭さを増す。
それを受け入れて、有田さんが話し始めた。
私の書き連ねた提案を確かめながら、ひとつひとつ丁寧に説明していく。途中で浮かんだ疑問点をすぐに解決して進める話し方は、とてもわかりやすくて引きこまれる。
さらに有田さんの声に込められた熱意までも伝わってきて、私は完全に聴き入ってしまっていた。お客さんである笠間さんよりも熱心に。
それに気づいたのは、有田さんの横顔が急に曇ったから。