思いがけずロマンチック
「はい、いいと思いますけど有田さんはお忙しそうですよ? それに、メンバーはどうするんですか?」
「忙しいとはいえ懇親会なら出席しないわけにはいかないだろう? それに社全体なら尚更だ」
まだ誘いもしないうちに、益子課長は勝ち誇ったような笑みを見せる。
「全社員ですか、それなりに広い店となると限られてきますね」
上辺だけ調子を合わせて答えながら閃いた。
これはチャンスかもしれない。きっと一緒に食べて飲んで話したら、有田さんとの距離が縮まるに違いない。ゲットなんかしなくても話したら意外とわかってくれるかも……
淡い期待を抱く私を見透かすように、益子課長が目を細める。良くないことを言い出すんじゃないかと身構えたら案の定。
「そうなんだ、実は総務課が幹事をすることになってね、僕と一緒に引き受けてくれないかな?」
参加云々を検討する間もなく、強制的に幹事をすることになるとは思いもしなかった。
黙って頷き返すと、益子課長は満足げに笑う。
「それと……言い忘れてたけど唐津さんが外出した後、プリンターにこれが残ってたよ」
ひらりと目の前に差し出されたのは、笠間さんに説明するはずだった企画書から抜け落ちていた一枚。やはり忘れていたらしい。
新たな企画を練り直さなければいけないことを思い出して、どっと疲れが襲ってきた。