思いがけずロマンチック
いきなり勘違いされてしまったんじゃないだろうか。ここから、どんな部屋に連れて行くつもりなんだろう。今夜は泊りだなんて言われたら、どうしたらいいんだろう。
行き慣れない場所に連れて来られた私は妄想全開。覚られないように努めながらも、そわそわを隠せないまま有田さんのあとをついて行く。
きっと次に向かうだろうと予想していたフロントを素通り。ロビー階のさらに奥へと進み、カジュアルな雰囲気のレストランの前で足を止めた。
有田さんの背後から店内を窺っていると、有田さんが振り返る。
「ここでいいか? ここなら社内の人間に会うことはないはずだ」
「はい、いいです」
そう答えるしかなかった。
かなりの風雨の中、タクシーでこんな所まで連れて来られて今更『ここは嫌だから、他の店にしてください』なんて言えるわけがない。
きっと食事を終えて帰る頃には雨は止んでいるはず、と考えながら有田さんの後に続いた。