思いがけずロマンチック
広々とした店内は華やかな照明に彩られ、明るく賑わっている。高さのある大きな窓の外は……、打ちつける雨でべっとりと濡れているけれど。
おそらく晴れた昼間なら、光に満ちた穏やかな海のある景色を臨むことができるのだろう。デートか何かなら素敵なロケーションだ。
とりあえずオーダーは有田さんにお任せ。周りの席を見回してみたら、あちこちのテーブルにワイングラスが鎮座している。
だけど、こんな所で飲むのは危険だ。普段はビールかチューハイぐらいしか飲まないのに、飲み慣れないワインなんて飲んだら……
またもや危険な妄想が、頭の中を駆け回る。
いや、いっそ飲んでしまった方が手っ取り早くゲットできるかもしれない。
もしかしたら名案では?
「何を飲む? 俺は水でいい、明日も出勤だからな」
有田さんが私の黒く染まった妄想を、見事に断ち切ってくれた。なかなか素早い対応に、もはや手も足も出ない。
私だけ飲んでしまってもいいのだけど、頼みにくい雰囲気になってきた。
酔って気分が悪くなる作戦は諦めておこう。