思いがけずロマンチック
やがて食事が運ばれてきたけれど、ゆっくりと味わう余裕なんてない。ともすれば途切れそうになる会話を何としても続けなければと、頭の中に散らばった言葉を探してる。
「有田さんはあちらの会社で、どんな案件を担当されていたんですか?」
ようやく出てきた言葉は何ともありきたり。ここからどんな風に距離を詰めていけばいいのやら、検討もつかない。
あまりにも漠然とした質問だったせいか、有田さんは首を傾げる。
「いろいろ……港陽百貨店のイベントもしたし、車の展示会、個人のサプライズも受けたことがある」
「やっぱり私の会社と同じですね、でも、有田さんは失敗なんてしたことなさそうですね」
ちょっと嫌味だったかな?
と思ったけれど、有田さんには通じなかったらしい。気づかなかったと言った方が正解だろうか、何ともなさそうに笑みを浮かべる。
「いや、俺も営業に配属されたばかりの頃は何度も失敗した、失敗して怒られて鍛えられたんだ」
「上司はどんな方だったんですか?」
「厳しい人だったよ、教えられるよりも学び取れと言われて、何の準備もないままクライアントとの交渉に連れて行かれた」
有田さんは懐かしむように目を細める。
私の会社を陥れたライバル会社の精鋭は、厳しい上司が居てこそだったらしい。スパルタな方針が社員や会社を向上させて、業績アップに繋がったのかもしれない。
そして最終的に、私たちの会社が負けたんだ。