ルルー工房の月曜の午後
ⅶ.
ⅶ.

倉庫に一歩踏み込むと、もわもわと舞う砂埃が目に入って、ぎゅっと目をつむった。


吸い込んだ空気があまりに埃っぽくて、ベルとリュカが咳きこむ。


前を行くレイエが振り返って苦笑した。



「すまないね、掃除が行き届いていなくて。


なにせ広いうえに雑多な物が多いから、誰もやりたがらないし、

掃除してもすぐにまた散らかるから、数年ほど放置していてね」



ベルがむせながら涙目で「いえ、」とだけ言うと、

レイエは「あぁすまないね、無理して答えてくれなくてもいいんだ」と、困ったように笑う。



咳がおさまってから改めて倉庫を見回して、なるほど広い、とベルは頷いた。



ルルー工房の制作場は、もともとエドガーが弟子を取らないつもりでいたこともあってか、

一般的な工房の制作場の半分ほどの広さしかない。


それでも縦横の長さが十か十三ピエ(三、四メートル)もあるような大作を二つ同時に制作しても余裕のある広さだ。


レイエ工房の制作場の隣にある倉庫は、そのルルー工房の制作場と同じかそれ以上に広かった。



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