不器用な恋

初めての



撮影がおわってから

三人で門まであるく。

「今日楽しかった!ねぇ、私のこと杏里ってよんで!瑠樹も、桐沢くんも」

そういう、矢沢さん。

「俺のこと慎でいいよ。杏里も山田さんも」

と、桐沢君。

「わ、私も……瑠樹でいい」

そういうと杏里がくすくすと笑い

「今日から友達ね!」という。

友達。

友達なんてできたの初めて。

どういう表情をすればいいのだろうか。

私に

友達なんてできてもいいのだろうか。

「よろしく、杏里ちゃんとる、瑠樹ちゃん」

そういう、慎君。

名前呼びづらいかな?

「慎くん、杏里でいいよ!瑠樹も!」

と、にこにこという。

そして、三人で門を出る。

「わたしね、瑠樹と話したいなっておもってたの。ずっと。やっと話せた」

そういう彼女はとても眩しくて

少し羨ましいと思ってしまう。

私にもその眩しさを頂戴と……。

「私、こっち…だから」

と、私は指をさして歩きだす。

「また明日、瑠樹」

はじめていわれた。

また明日。

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