強引なカレの甘い束縛


けれど、陽太と顔を合わせたときに見せた稲生さんの照れた横顔には彼女の想いが素直に表れていて。

「……稲生さん、ほんと、かわいい」

切ない気持ちに胸は痛んでも、やっぱり彼女はかわいいし、おまけに素直すぎるし。

きっと、陽太のことが好きなんだ。

だから私と陽太がバーベキューに行ったことが気になるんだろう。

そして、その事実を私に確認したに違いない。

私と陽太が結婚すると思い、悩んでいるのだろうけれど。

視線を陽太に向ければ彼は、すれ違った稲生さんに気づいているのかいないのか。 

隣の席の先輩と何やら嬉しそうに話をしている。

あ、からかわれた。

それに頭をこつんとこづかれている。

仕事の話ではないとすぐにわかるほど笑い、楽しげだ。

その大きな笑顔を見ながら、例のごとく私の鼓動は何度も跳ねる。

やっぱり陽太のことが好きだなと自分の気持ちを再確認する。

だから、稲生さんは泣いちゃうかもしれないけれど、今の私には陽太から離れるという選択肢はない。

ようやく想いを通わせた大好きな人を、譲ることはできないから。





< 118 / 376 >

この作品をシェア

pagetop