強引なカレの甘い束縛


あ、とっくにその相手を見つけていて、次回参加の心得みたいなのを私に聞きたかったのだろうか?

どちらかといえばおとなしい稲生さんのことだから、聞きたくても照れて聞けなくて、結局私に声をかけただけだとか。

うーん。

とはいっても、稲生さんのように入社二年目の女性が結婚をするというのは考えにくい。

彼女のそんな甘い噂は聞いたことがないし。

「……なんて、ごまかしてもだめだよね」

手元の資料をホッチキスで綴じながら、小さな声でつぶやいた。

本当は、どうして稲生さんが私を呼びとめて確認したのか、ちゃんとわかってる。  

おそらく私の勘ははずれていないはずだ。

「稲生さん、素直だもん。私と違って」

そっと視線を上げると、コピーを終えた稲生さんが自分の席に向かっている。

さっきと変わらない強張った表情を見て、私は自分の考えが間違いないと実感する。

ちょうどそのとき、第一グループと第二グループの島の間で陽太と稲生さんがすれ違った。

ふたりとも軽く会釈しあい、立ち止まることなくそれぞれの席に向かう。




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