強引なカレの甘い束縛
「到着。中に駐車スペースがあるから、そこに入れて」
「あ、うん」
遠目から見るよりも大きな家と、緑豊かな広い庭に驚いた。
庭の中央にはバーベキューの用意がされていて、すでに会社の同僚たちが何人か来ていた。
「七瀬、今日は楽しもうな」
車を駐車スペースに停めてほっとひと息ついていると、陽太の顔が目の前にあった。
いつの間にシートベルトを外したんだろう。
「どうしたの? ちょっと、顔近いよ」
「照れるなって」
「な、なによ」
吐息が重なりそうな近い距離に陽太の唇がある。思わず体を後ろにずらし、ぎこちなくシートベルトを外した。
「七瀬と一緒にここに来ることができて、俺は嬉しいんだ」
陽太はいつも私が誤解してしまいそうなほど近い距離にいるけれど。
今日は、普段以上の甘さを感じるのは気のせいだろうか。