強引なカレの甘い束縛


陽太あてのメールを見てはいけないと、目を逸らそうとしたけれど間に合わず。

「え? 忍さん?」

メールの差出人は「音羽 忍」で、タイトルは「引っ越しの件」と流れていた。姉さんの旦那様である忍さんから陽太へのメールだ。

私の家で陽太と姉さんの家族と食事をすることもあるし、可愛い姪っ子を可愛がる陽太をふたりとも気に入っている。

陽太に限らず、同期の中でも親しいメンバーは姉さんの家族とは仲がいい。

その中でも陽太は姪っ子ふたりに慕われているせいか、なにかと顔を出しては付き合いを深めている。

だから忍さんとメールのやりとりをしているのも知っているけれど、「引っ越しの件」の意味がわからない。

いったい誰が引っ越すのだろう? 

陽太の口からそんな言葉を聞いた記憶もない。とくに気にかける内容でもないと思いつつ、最近の陽太の様子の変わりようを考えると気になってしまう。

「あやしい」

机の上のスマホを睨みながらしばらく考えて、それを手に取った。

ロックがかかっていて他人が勝手に操作することはできないけれど、私の誕生日をロックナンバーにしていると教えてもらっている。

もちろん私がそのナンバーを使って勝手に操作したことはないし、さっき、私の写真を削除すると脅かしたけれど、実際にそんなことをするつもりはなくて終業後陽太の目の前で削除するつもりでいた。




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