強引なカレの甘い束縛
変化のない毎日が私を落ち着かせ、生活のすべてを安定させてくれるのだから。
だから、私は総合職でなく異動のない事務職として就職したのだ。
周囲の人が聞けば「え? あの最高学府? ほんと?」と驚く大学を卒業していて、採用面接で総合職への採用を何度もすすめられても、その意志は変わらなかった。
だけど、陽太との関係が変化し始めた今、これまでとは違う場所に連れて行かれるのではないかという不安はもちろんあるけれど。
何故か、それを絶対に拒もうという強い思いが湧き上がってこない。
これまでなら何が何でも現状維持以外のものは受け付けないと頑なになっていたけれど、陽太が手を広げて私を受け入れてくれるのならば、その流れに乗ってもいいかなと。
今まで抱いたことのない思いがちらり心をよぎっていく。
陽太のことを好きだという気持ちがそうさせるのかもしれない。
だけど、そう思う一方で、姉さんの顔がちらつくのもたしかで、切ない。
「あ、メールだ」
机の端に置いておいた陽太のスマホの画面が点灯し、メールの受信を知らせている。
音は消されていて、何度か光ったあと画面の上に差出人とタイトルが流れてきた。