強引なカレの甘い束縛
そわそわする気持ちを隠せないままリビングに戻ると、陽太はソファに座りパソコンを開いていた。
その表情はどこか厳しくて、真剣に考え込んでいるように見えた。
それは仕事中に見慣れている集中した視線よりも、さらに鋭い。
「どうしたの? 仕事で何かあった?」
会社からトラブルの連絡でもあったのかと不安を覚えながら陽太の隣に座り、そっとパソコンの画面を覗き込めば、鮮やかな輝きが目に入ってきた。
「え、これ、……は?」
「最近ずっと悩んでるんだけどさ、どれも七瀬に似合いそうで、決められないんだ。で、七瀬はどれが好みだ?」
陽太は隣で呆然としている私の肩を抱き寄せ、膝に置かれたパソコンの画面を私に向けた。
「どれも同じに見えるとは言わないけど、逆にどのデザインも七瀬なら喜びそうだし、選べないんだ」
「喜ぶって言われても」
「本当は内緒で用意して、貸切にした輝さんの店で渡そうとか考えていたんだけど。ネットで色々調べて、店に見に行ったけど、結局俺ひとりじゃ決められなかった」
「嘘……」
「仕事より難しいって、思わないだろ、普通」
陽太は、普段は見せない弱ったような笑顔を浮かべた。
よっぽど、悩んでいるのかもしれない。
「仕事よりって、それはおおげさでしょ」
「サプライズっていうのを仕掛けて驚かそうと思ったんだけど、俺にはハードルが高すぎる」
ははっと笑い、照れくさそうに肩をすくめた陽太に、さらにぐっと引き寄せられた。
陽太の胸に抱かれ、そしてふたりでパソコンの画面を見れば。
そこにはキラキラ輝くダイヤの指輪。
いくつもの種類がそこに並び、その輝きに私の目はくぎ付けだ。