強引なカレの甘い束縛
会社に戻り、そのまま打ち合わせ室に行くと、すでに大原部長が待っていた。
タブレットを操作しながらコーヒーを飲む表情はにこやかで、ほんの少しホッとした。
「お疲れ様。座って座って」
「あ、はい」
大原部長の明るい口調に、稲生さんと顔を見合わせながら、大原部長の向かいに腰をおろした。
「まずは、この結果だけど、なかなかいい点数を取ってるし、全体的にバランスよく理解してる。予想していた以上に頑張ったな。お疲れさま」
「あ、ありがとうございます」
目の前に置かれた成績表には、講習会で学んだ項目それぞれに成績がつけられていて、ほとんどがAだった。
良かった……。
この結果で何が変わるというわけではないけれど、周囲にお願いした仕事もあるし、睡眠時間を削って必死で勉強したこともあり、やっぱりいい結果がほしかった。
「萩尾さんも稲生さんも、せっかく勉強したんだからこれからも定期的に講習会に参加したらどうだ? 少しずつ内容が深くなって難しくなるが、勉強して損はないぞ」
「え、いいんですか? 是非、参加させてください」
大原部長の言葉に、稲生さんが即答する。
そのいきいきとした瞳に、大原部長は満足そうに頷いている。
そして、私に視線が向けられた。
「で、萩尾さんは、どうする? 早速、来月からの講習会……は、申込みに間に合わないかもな」
「いえ、私は、しばらくいいです。今回のことをもう少し勉強して、それから考えます。周りに仕事を預けて講習会に行くのも気が引けると言うか……」
私は慌てて遠慮した。
仕事で迷惑をかけずに講習会に参加する手段を考えないと、無理だ。
今日の午前中だって、急ぎでないからと後回しにしていおいた仕事の整理だけで終わってしまった。
仕事に必要な知識でもないのに、これ以上のわがままは言えない。
「遠慮しなくていいんだぞ。みんな順番にいろいろと参加しているんだ。そんなときに協力し合うためにも、今手がけている業務以外の知識をたくわえておくのも必要だ」
「あ……そうですね」
「それに、今後、萩尾さんも稲生さんも、ずっとこのままだというわけでもないだろうし」
「え?」
大原部長の言葉に、はっとした。