強引なカレの甘い束縛
大原部長の思いつきに振り回されるのには慣れているけど、この状況はいつもとは違うような気がする。
私たちの戸惑いを理解しているのか、大原部長は笑い、再び口を開いた。
「今、大きなプロジェクトが発足されて慌ただしく動いているけど。その渦中にいる陽太をはじめとする開発者だけでなく、わが社の営業もなかなか優秀なんだ」
「は、はあ」
大原部長の言葉に、私たち三人は、顔を見合わせる。
営業って、いったい、なんのことだ?
「今、部内が銀行合併によるシステム統合にかかりきりになっているというのに、営業部はまあ、手を抜くことも妥協することもない。俺たちの苦労をわかっていても、次々と大きな仕事を受注しようと頑張ってくれるんだ。……まあ、今日はここまでにしておくけど、元山君の婚約者が腰を据えてパティシエの勉強をしたいなら、背中を押してやれ。……と、まあ、いわゆる大原部長のひとりごと。バーベキュー以外でもあるんだぞってことで」
「ひとりごと……」
元山君は、大原部長の言葉に表情を引き締めた。
手元の学校案内を手に取り、順番に表紙に目を通す。
そして、何かに気づいたのか、探るような視線を大原部長に向けた。