強引なカレの甘い束縛
「このカタログ、パティシエの勉強をする学校の案内なんだけど。元山君に渡しておく」
「え、部長?」
元山君の前にカタログを置くと、大原部長は元山君の顔を覗き込んだ。
「嫁さんの友達がパティシエなんだ。彼女にお勧めの学校の学校案内を用意してもらったんだけど、婚約者の女性に渡しておくといい」
「いいって言われても、あの、俺がいつ異動するのかがわからないので、就職もせずに実家のお店を手伝っているだけで……もちろん学校には行きたいようですけど、我慢してくれていて」
元山君は、焦りながらそう言った。
元山君の彼女のことは聞いたことがあるけど、学校で本格的にパティシエのことを学ぼうとしているようだ。
もちろん、それよりも元山君との結婚を優先し、環境の変化にいつでも対応できるように身辺を身軽にしていると聞いている。
そのための、実家のお手伝い、だというのに、どうして今、学校案内を元山君に預けるんだろう。
いずれは異動することがほぼ決まっている元山君のために過ごしている彼女のことを、大原部長はどうして気にかけるのだろうか。