強引なカレの甘い束縛
「姉さんは私よりも公香と唯香のことが大切だって、思ったはず。もう、大丈夫というか……私のことはもう」
必要最低限の愛情で、姉としての立場で私に向き合ってくれるはずだ。
そう思いながら、陽太に視線を向ければ、「甘いな」と返ってきた。
「人の想いがそう簡単に変わるわけがない。さっきひとつ間違えば公香の命にかかわる場面を見たとしても、だ。お姉さんの七瀬への想いはダイヤよりも硬く強いんだ」
うんうん頷きながら力強い声で話す陽太に、私は「そ、そうかな」と曖昧に答えた。
どうしてそこまで自信を持って言えるんだろう。
姉さんの気持ちなら、私の方が理解できるはずなのに。
訝しがる私をちらりと見た陽太は、にっこりと笑った。
「どうしてお姉さんの気持ちがわかるのかって顔してるな」
「え、うん、そうだけど……」
どうして陽太は姉さんの気持ちがわかるのか……それに、私がそのことを疑問に思っていることもどうして察することができるのか……。
首をかしげて陽太を見つめていると、ふっと息を吐いた陽太が口を開いた。
「お姉さんと俺は一緒なんだよ。七瀬のことが好きで好きでたまらないんだ。だから、七瀬への想いが簡単に消えるなんて、ありえないって、よーくわかる」
「……は? 好きで好きで……」
「たまらない」
「な、な……なんで、そんな簡単に」
陽太の言葉を頭の中で繰り返す。
私へのとてつもなく強い想いを口にする陽太から目が離せないと同時に、いっそう足から力が抜けていく。
ただでさえ陽太に体重を預けている体が、もっともっと、陽太に傾いていく。
それは私の気持ちと一緒で、際限なく、陽太に体は倒れていく。
「俺のこの五年近くの愛情をなめるなよ。それに、その何倍もの間七瀬を守ってきたお姉さんの愛情も同じだ。お姉さんが七瀬をきっぱり手放すとは……まあ、思えないな」
ため息を吐きながらもその声は明るい。
未来を予想するように話すその声は自信も感じられる。