強引なカレの甘い束縛


「よっぽど楽しかったんでしょう?」

陽太に負けず劣らず、不機嫌な気持ちをまったく隠すことなくそう言った。

お互いの生活の何もかもを伝え合っているわけではないけれど、それでも相手のスケジュールの多くを知っている。

入社以来、陽太のことならたいていのことは知っている。

親友のような関係ともいえる付き合いを続ける中で、終業後の予定はもとより、休日の予定も大雑把にではあるけれど知らせ合うのが当たり前になっている。

時間が空いたときに、「これから飲みに行かない?」とまず声をかけるのも、休日に「温泉に行きたいから車出してくれる?」とお願いできるのも、女友達ではなく陽太だ。

私に女性らしさを求めず、気の合う友達としてその懐に入れてくれる陽太の優しさに甘えた私は、陽太への恋心を必死で隠していた。

一緒に飲みに行くときには、陽太と過ごせる時間に感謝し、それ以上のことは何も求めないと決め。

温泉に行くときには、ただそれだけが目的で、おいしいお料理を堪能できるというオプションをふたりで分かち合えることだけに喜びを感じるように努力している。



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