強引なカレの甘い束縛


ふたりでいられれば幸せで、私の思いを受け入れてもらおうだとか、今の関係から一歩踏み込んだ深い関係に発展させようなんて思っていない。

陽太を好きだという気持ちを伝えるつもりもない。

その気持ちに嘘はないけれど、美女揃いの経理部の飲み会に私に内緒で参加していたと聞けば、隠し切れない感情が顔を出す。

「小野さんだけじゃなくて、他にもきれいな女性が前後左右を陣取って、きっとおいしいお酒をたくさん飲んだんでしょうね」

まるで恋人気取り。

どう聞いても嫉妬に溢れた言葉を口にしていることは百も承知。

だけど、屋外にいるせいか、普段以上に気が大きくなっているようだ。

「小野さんもきれいだけど、山下さんだっけ? 彼女もすらりとしていて圧巻の美女だよね。面倒見が良くてさばさばしたいい人だし」

いくらでも出てくる経理部の女性の名前。

彼女たちはきっと陽太の近くで楽しいひと時を過ごし、陽太との距離を縮めようと躍起になったはず。

人当たりが良くて声をかけやすい陽太の周りには、ただでさえ多くの人が集まる。

陽太以上に見た目が整っている男性はもちろんいるけれど、大きなプロジェクトに召集されるほど仕事ができ、上司からの信頼が厚い陽太を狙う女性がいてもおかしくない。

ううん、きっといるはずだ。


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