強引なカレの甘い束縛
同期として過ごした五年間、何度この気持ちを味わっただろう。
システムエンジニアとしてようやく責任ある仕事を任せてもらえるようになった陽太は、三か月前に発足した大きなプロジェクトメンバーに選ばれた。
都市銀行同士の合併を二年後に控え、両行のシステムを統合させるための大きなプロジェクトだ。
国内の経済に大きな影響を与えるシステムの移行だけに失敗は許されない。
私の所属するシステム開発第一グループがそのプロジェクトを推進することとなり、大原部長が指揮をとっている。
そして、関係部署から精鋭が集められ、移行に向けて動き始めている。
その精鋭のひとりとして陽太が召集された。
成功させることが至上命令だともいえるプロジェクトの一員となり、陽太はやりがいと不安が混在した気持ちを抱えながら仕事に励んでいる。
その姿はこれまで私が見てきたどんな陽太よりも男らしくて頼りがいがある。
表情ひとつ、発言のひとつをとってみても、陽太の成長は一目瞭然だ。
総合職の陽太と地域限定採用の事務職の私とは、入社したときから何もかもが違っている。
与えられる仕事はもちろんのこと、お給料の額だってかなりの差がある。
もちろんそれに納得して採用試験を受け、入社を決めたのだから異存はないのだけど。
仕事を続けていくにつれて広がる私たちの違いに、最近では心が痛むときがある。
ひとつの場所で落ち着いた生活がしたくて自分で選択したというのに、陽太とはいずれ離れてしまう現実を考えると気持ちは揺れる。