強引なカレの甘い束縛
陽太自身の成長のため、そして会社の判断によって、近いうちに陽太は異動となるに違いない。
今は大きなプロジェクトに携わっているからそんな話は出ないにしても、それが終了すればきっと、本社を出るだろう。
そしてあらゆるシステム開発の経験を積んだあと、本社に戻ってくるのが慣例となっている。
陽太本人もそれを自覚しているのか、全国の各支店への出張のたび、その地域の仕事内容を詳しく調べたりしている。
「どうした? 疲れたか?」
黙り込んだ私が気になるのか、陽太が気遣わしげに声をかけてくれた。まさか陽太のことを考えていたなんて言えなくて、私は慌てて口を開いた。
「え? あ、ううん。大丈夫。運転は気分転換になるし、好きだから」
「そうか? じゃ、緊張しているのか?」
「え? 緊張?」
「大原部長の家に行くのは初めてだろう? 部署から他にも何人か来るから俺たちだけじゃないけど、緊張してるんじゃないのか?」
「まあ、たしかに緊張はしてるけど、それほどでもないかな。異動の内示発表会なんて、私には関係ないし」
本社以外への異動の可能性がない私には関係のないことだ。