強引なカレの甘い束縛


どちらにしても、車検中で自分の車が出せない陽太に頼まれて、運転手代わりに付き合う程度の私には、そんなひとりごと、関係のない話なんだけれど。

それでも、私に頼んでまで大原部長のお宅に行く陽太にとってはプロジェクト終了後の自分に直結する話もあるだろうし、大切なものなんだろう。

そう考えると、やっぱり私の中にも複雑な思いが生まれる。

陽太にとっての大切なことが、私の業務に影響することはないけれど、私の心に大きな影響を与えるのはたしかなのだから。

「あ、大原部長の奥さんは料理が苦手なんだ。だからいつもバーベキュー。とりあえずたくさんの野菜を切って、肉も冷蔵庫にたっぷり。たまに俺にも弁当を差し入れしてくれたり手土産にチーズケーキを焼いてくる七瀬のほうがよっぽど料理上手だぞ。だけど、話上手で楽しい人だから緊張することはないから」

私の気持ちを軽くするためなのか、陽太の明るい声が車内に響く。

そうか、大原部長の奥様って、お料理が苦手なのか。エプロンも持ってきているし、お手伝いに励もうかな。




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