強引なカレの甘い束縛
だって、ずっと陽太が好きだったんだから。
唇の柔らかさを確かめたかったんだから。
こうして隠し持っていた願いが叶って、嬉しくないわけがない。
このままずっと陽太の腕に囚われたままでいたいと思うけれど。
「私……自信がない。この家を出るのは、無理……っや、よう」
「無理なのは、俺だ。ようやく俺の気持ちを七瀬にぶつけたのに、はいそうですかって引き下がるわけがないだろ。俺は七瀬を諦めないし、絶対に手に入れるから。というより、もう、俺のものだろ?」
人って、唇を合わせながら話せるんだと。
あまりにも近すぎる距離の中、唇をついばみながら話す陽太に驚きながらも、やっぱり私にはこの家を出るなんて無理だと思う。
環境の変化への対応能力が欠如した私には、陽太を諦めるよりほかないのだから。
「陽太……」
何度考えても変わらないその気持ちを伝えようと口を開いた途端、陽太がそれを唇で止めた。