ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
『俺には真里さんがいるから…』


そう聞いた時、嬉しかったけど、それは都合のいい勘違い…『同居人のオネエさん』

それが、拓海にとっての私の存在。


恋人だと思っていたのは私だけ。



クルッと向きを変える。
拓海たちのグループから、見えない場所に身を隠すことだけで精一杯だった。



賑やかな夜の街は、楽しげに語り合う人たちで溢れていた。

すれ違う人たちは皆、幸せそうで光り輝いている。

私のいる場所だけポッカリと穴が開き、真っ黒な分厚い雲で覆われたようだ。


幸せを感じていた毎日が、音を立てて崩れていく。


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