ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
住宅街に入り、一軒の古民家の前に車を停める。

車が停車したと同時に、古民家から男の人が出てきて、藤枝さんは、その男の人に車のキーを渡した。

「お待ちしておりました。藤枝様。
こちらへどうぞ」

古民家の軒先に、小さな木製の看板が掛かっている。

「割烹 すな川」と書かれている。


中へ入ると、意外と広くて、カウンター席の他に、四人掛けのテーブル席が6席ある。

ただ、私たち以外はお客様がいない。

「お客さん、俺たちだけだから」

私が声に出す前に、藤枝さんが教えてくれた。

「ようこそ、お嬢さん。夏バテかしら?
うちの料理を食べたら、そんなの吹っ飛んじゃうわ」

カウンターの中にいた、着物姿の綺麗な女の人が微笑んだ。

「よろしくお願いします」

思わず、深々と頭を下げる。



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