ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
「藤枝さん…お客さん、誰もいませんよ?
こんなに美味しいのに…」

金曜日の夜なのに、誰もお客さんが来なくていいんだろうか。


「ぶっ…心配しなくて大丈夫だ。今日は休みだから」

「お休み?」

だからお客さんが誰もいないの?

でも、なぜ?

「ここの主人の気分次第なんだよ。主人の納得いく食材が手に入らないと、すぐ休みにする」

「ちょっとぉ、タカ!
それじゃあ、私が我儘な女みたいじゃない」

カウンターの中にいた、着物を着た綺麗な女の人が、藤枝さんを睨んでいる。

「なんだよ、薫。本当のことじゃねえか…」

薫さん…ていうんだ。

藤枝さんと薫さんは、随分と親しいんだ…

それに、『タカ』……て。


ズキッ…


何だこれ…胸が痛い。

< 358 / 378 >

この作品をシェア

pagetop