オフィス・ラブ #another code
もうすっかり慣れた、自宅までの道を走らせながら、煙草に火をつける。
面白くない。
いたって、面白くない。
別に大塚が、あの男と何かしていたと思っているわけではないし、していたとしても、どうこう言える筋合いじゃない。
けれど、面白くない。
煙草を吸っても神経が休まらず、自分が相当に苛立っていることに気がついた。
苛立っている、何に?
面白くないって、どういうことだ。
さすがの自分も、そのくらいわかっていると自嘲する。
日中にさしかかってしまい、交通量の増えてきた首都高で、遠慮なしにアクセルを開け、車の間を縫った。
わかっている。
自分は、大塚を自分のものにする度胸もないくせに。
人に渡すのだけは、許せないのだ。