落日の楽園(エデン)
 春日は舞の側に腰を下ろした。

 舞は絵を隠そうとしたが、そもそも、舞の細い手くらいで、隠し切れるような代物ではなかった。

 舞の手を払い、暫く見ていた春日は、戸惑いながら、こう言った。

「これは……俺か?」

 どうにも申し開きのしようのないほど、それは春日だった。

 春日はしばらく、黙って、それを見ていたが、やがて、
「なんか足りないな、これ」
と言う。

 むっと舞は彼を見上げた。

「人の絵にケチつけないでよ」

「人の絵じゃなくて、俺の絵だろ?」

「そうじゃなくて……」

 だが、舞は言葉を止めた。

 その絵を前にして、どんな言葉を言い繕おうとも無駄だということは、さすがの舞にもわかっていた。
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